2016年12月13日のNHKあさイチスゴ技Qは、「たら」活用の新常識。
たらの臭みの原因、砂糖でたらの臭みを抜く方法、たらの煮崩れを防止する湯引きの仕方、たらのオレンジジュース焼き、いろんな料理にアレンジできるたらフレークの作り方が紹介されていました。
たらの臭みの原因
たらの臭いの原因は、身の中の水分にあります。
たらは深海に生息する魚で、水圧から身を守るための物質を筋肉の中にたくさん蓄えています。
たらが水揚げされるとその物質が分解されて、アンモニアの一種トリメチルアミンに変化します。
このトリメチルアアミンが、たらから出る嫌な臭いの元なのです。
臭いの元である水分を抜くために使用するのが「砂糖」。
たらの身に砂糖を振りかけて20分ほど置くと、たらから水分が出てきますが、この水分と一緒にトリメチルアミンも抜け出てきます。
ただ、臭みの原因「トリメチルアミン」は、ほどよく抜くのが大切!
トリメチルアミンが多いと臭みの原因になりますが、トリメチルアミンがほどよくあると「いい匂いでうまみがある」そう。
たらの臭みを抜く方法
臭みを抜くための砂糖は、たらの重さの1%が目安です。
1、たらに砂糖を振りかける。
砂糖を振りかけるときに、手にぶつけながらすると、まんべんなく振りかけることができます。
2、ラップをかけて、冷蔵庫で20分間おいておきます。
この時、臭みのある水分が下に流れていくように、トレイを斜めにするのがポイント!
長い間、砂糖をまぶしておくと逆にパサパサになるので要注意。
3、水で洗い流して、余分な水分をふき取れば、臭み抜きの完了!
水の代わりに「玉酒」を使うとより効果的。
玉酒とは、水5:酒1を混ぜた液体です。
砂糖を振って水分を抜いたあとに、この玉酒で洗うことによって、トリメチルアミンのアルカリ性をアルコールの酸性で中和し、より臭いを少なくしてくれます。
塩でも水分を抜くことはできますが、塩は身に味が入りやすく、砂糖だと味がつきにくいため、砂糖の方がオススメとのこと。
甘塩ダラの臭みを抜く方法
水500ccに2%の塩を混ぜて、甘塩ダラを入れて20分間おいておきます。
たらの煮崩れ防止方法
たらの身崩れを防ぐために「湯引き」するのがオススメ。
1、たらの両面の片栗粉を薄くまぶす。
身崩れだけでなくパサつきを抑える効果もあります。
2、たらを穴あきおたまにのせて、90℃前後のお湯にゆっくり入れる。
3、表面がうっすら白くなるまで5秒~10秒間湯引きをしたあと、氷水で身を締めれば完成!
この後、鍋に入れて煮込んでも煮崩れしにくくなります。
時間が短いと粉っぽさが残るし、長いと中まで火が入って身崩れしやすくなります。
湯引きをする温度によって、たらの身にどういった違いが出るのか?
40℃前後、60℃前後で湯引きをしたものは、沸騰したお湯の中に入れてしばらく加熱すると、身崩れしてしまいました。
たらの身肉は、筋肉にあたる「たんぱく質」と、その接着剤にあたる「コラーゲン」に分けられます。
加熱したときに、熱に弱いコラーゲンがとけ出すことが、身崩れの原因!
そのコラーゲンの流出を防ぐため、90度前後で表面のたんぱく質を一瞬で固めることが大事だそう。
沸騰したお湯で湯引きをすると、すぐに中まで火が通って身が縮み、低い温度と同様にコラーゲンの流出につながってしまうので要注意。
たら鍋
1、土鍋にだし20:薄口しょうゆ1:酒1:みりん0.5の割合で入れ、まず野菜を加えて煮る。
2、湯引きしたたらを野菜の上にのせるように置く。
グツグツしたところにたらを入れないこと。
ポコポコ程度が火加減の目安です。
ふっくらジューシーな焼きだらにするワンランクアップ術
パサつきがちな焼きだらをおいしくするために、あさイチと青森県八戸市の料理店店長 川村満さんがコラボして生まれたのが、「オレンジジュース焼き」!
酒・しょうゆ・みりんにオレンジジュースを加えて、たらを10分ほど漬けて焼くだけで、ふっくらジューシーな焼きだらに。
オレンジジュースはpHが低い酸性の液体なので、たらを漬けこむと水素イオンが多くなり、反発しあって筋繊維を押し広げます。
そのため、筋繊維のすき間に、水分をたくさん保つことができ、ふっくらジューシーになるのです。
焼き方のコツは、中火で片面7分、ひっくり返して2分。
加熱しすぎると、せっかく水分を保ったたらの身から水分が抜け出てしまうので要注意!
たらのオレンジジュース焼き
●材料(2人分)
・たら・・・2切れ
・小麦粉・・・適量
・油・・・適量
【A】
・酒・・・100ml
・しょうゆ・・・100ml
・みりん・・・100ml
・オレンジジュース・・・100ml
●作り方
1、ボウルの中に【A】をすべて入れて、つけ汁を作る。
2、(1)のつけ汁の中にたらの切り身を入れ、ラップをして冷蔵庫で10分間ほど漬けておく。
3、キッチンペーパーなどで水けをきって、両面に小麦粉をまぶす。
4、油を熱したフライパンにひき、片面を中火で7分焼く。
5、ひっくり返して2分焼き、最後に【A】のつけ汁を適量まわしかけ、再び加熱したら出来上がり!
万能素材で広がるたらワールド
たらを使った料理のレパートリーが少ない、という悩みみを解決するために、たら消費量世界一のポルトガル料理の研究家 栗山真由美さんが「たらフレーク」の作り方を教えてくれました。
このたらフレークがあれば、たらとじゃがいもの卵とじ、グラタン、コロッケ、かきあげなどのポルトガル料理以外にも、チャーハンやお茶漬けなどさまざまな料理に応用ができるそう
作り方はいたって簡単、甘塩たらに酒をふりかけ、レンジで温めたあと、粗熱を取ってほぐすだけで完成です。ポイントは、温めたときに出た蒸し汁を捨てずに、たらになじまること。蒸し汁にはたらのうまみがたくさん入っているので、捨てずに使うのがオススメだそうです。
です。
たらフレーク
●材料
・甘塩たら・・・4切れ
・酒・・・大さじ1
●作り方
1、砂糖で臭みを抜いた甘塩たらを耐熱皿の上に並べ、酒を回しかける。
2、軽くラップをして、600Wの電子レンジで6分半~7分加熱する。
3、粗熱を取ったあと、皮と骨を除きながら手でほぐす。
平らにして、蒸し汁となじませるようにする。
ポイントは、温めたときに出た蒸し汁を捨てずに、たらになじませること。
蒸し汁にはたらのうまみがたくさん入っているので、捨てずに使うのがオススメ!
たらフレークは、冷蔵庫で3日、冷凍で2~3週間が保存の目安です。
たらとじゃがいもの卵とじ
ポルトガルの伝統的な家庭料理の味を、ポテトチップスで作るレシピ。
●材料(2人分)
・たらフレーク・・・150g
・卵・・・2個
・たまねぎ(うす切り)・・・1/2個
・にんにく(うす切り)・・・1/2かけ
・ポテトチップス・・・20g
・ブラックオリーブ・・・適量
・塩こしょう・・・適量
・オリーブオイル・・・大さじ1+1/2
・パセリ(あれば)・・・適量
●作り方
1、たまねぎとにんにくは薄切りにしておく。
卵は溶いて、塩こしょう少々を振る。
ポテトチップスは1枚を4等分ぐらいに手でくだいておく。
2、フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて、弱火にかける。
香りがしてきたら、たまねぎを炒める。
3、全体にしんなりするまで炒めたら、たらフレークを加えてざっと混ぜる。
4、さらにポテトチップスを加え、まんべんなく混ざったら、フライパンの縁から回し入れるように卵液を加える。
5、縁から固まってきたら大きくざっと混ぜ、卵が好みの固さになるまで炒める。
6、塩こしょうで味をととのえ、ブラックオリーブを加える。器に盛り、あればパセリを散らす。
たらのマヨネーズグラタン
ホワイトソースの代わりにマヨネーズを使った簡単レシピ。
●材料(2人分)
・たらフレーク・・・180g
・じゃがいも・・・2個(300g)
・たまねぎ(うす切り)・・・1/4個
・にんにく(みじん切り)・・・1/2かけ
・マヨネーズ・・・大さじ3+1/2
・牛乳・・・大さじ1
・バター・・・適量
・ブラックオリーブ・・・適量
・塩こしょう・・・適量
・パセリ(あれば)・・・適量
・水適量
●作り方
1、じゃがいもは皮をむいて4等分に切り、水にさらしておく。
たまねぎはうす切りに、にんにくははみじん切りにする。
耐熱皿の内側にバターをうすく塗っておく。
2、鍋に水けをきったじゃがいもとたまねぎを入れ、ひたひたまで水を加える。
強火にかけて沸騰したら、弱火にして、じゃがいもがやわらかくなるまでゆでる。
3、ざるに上げてまた鍋にもどし、バター小さじ2とにんにくを入れて全体に混ぜる。
4、じゃがいもをざっくりとつぶし、塩こしょう少々を振り、なめらかになるまで混ぜる。
5、じゃがいもを耐熱皿に入れて、平らにする。
その上にたらフレークをのせ、こしょう少々をふる。
6、マヨネーズを牛乳を加えてゆるめ、塩こしょうで味をととのえ、(5)の上にかける。
7、ブラックオリーブをかざり、余熱したトースターで8~10分焼く。
あればパセリをちぎって散らす。
たらフレークコロッケ
たらフレークのふわっとした食感がおいしいコロッケ。
●材料(2人分)
・たらフレーク・・・50g
・卵・・・1個
・じゃがいも・・・1個(200g)
・にんにく(みじん切り)・・・小さじ1/2かけ
・たまねぎ(みじん切り)・・・大さじ1個
・パセリ(みじん切り)・・・100g
・片栗粉・・・小さじ1/2
・塩こしょう・・・適量
・揚げ油・・・適量
●作り方
1、じゃがいもは皮をむいて4等分に切り、鍋に入れる。
ひたひたになるまで水を加え、水からゆでる。
2、塩ひとつまみを混ぜ、竹串がすっと通って柔らかくなったら、ざるに上げる。
熱いうちにボウルに移し、つぶす。
3、(2)にたらフレークとにんにく・たまねぎを混ぜる。
4、(3)に片栗粉、パセリ、卵を加え、塩こしょうを振って、まんべんなく混ぜる。
5、ラップをして、揚げる直前まで冷蔵庫で寝かせておく。
6、揚げ油を170~180℃に熱する。
スプーン2本を使って卵型に成型し、油に落としていく。
揚げ色がついたら引き上げる。
たらフレークのかきあげ
日本のかきあげとはひと味違った、ポルトガル風のかきあげ。
●材料(4人分)
・たらフレーク・・・300g
・卵・・・1個
【A】
・たまねぎ(みじん切り)・・・1/10個
・パセリ(みじん切り)・・・大さじ1
・塩こしょう・・・適量
・小麦粉・・・100g
・揚げ油・・・適量
・塩こしょう・・・適量
・水・・・100ml
●作り方
1、ボウルに卵白と卵黄を分けて入れる。
卵白はかために泡立てる。
2、卵黄は溶き、水100mlでのばして、小麦粉を入れる。
ざっくりと混ぜたら、泡立てた卵白を加え、衣を作る。
3、(2)にたらフレークと【A】を入れ、さっくりと混ぜる。
フライパンに1cm程度油を入れ、170℃に熱する。
4、種をおたまなどに取り、スプーンなどですべらせて落とす。
縁が固まってきたら、ひっくり返し、色よく揚げたら出来上がり!