2015年9月8日の林修の今でしょ講座は、科学の力で家庭料理をプロの味
にする方法。
教えてくれるのは、フランス料理シェフ・料理研究家でロジカルクッキング著
の水島弘史先生。
メニューは、家庭料理の定番のカレー・餃子・炊き込みご飯。
カレー
一流店のカレーの特徴は、
・ホクホクの「じゃがいも」
・ジューシーな「肉」
・味に広がりがある「ルウ」
じゃがいもをホクホクにする
家庭で作るカレーの失敗が、ボロボロで煮崩れしたじゃがいも。
ホクホクとは、口の中で柔らかくほぐれる物理的食感が
美味しさを感じる1つのポイント。
細胞を皮膜でガード!
煮崩れを防ぐために、50℃のお湯につける。
1、水にじゃがいも・にんじん・玉ねぎを入れる。
2、弱めの中火で温めていく。
3、50℃になったら、火を止めて、3分つけておく。
そして、湯切りする。
植物は45℃になってくると、遺伝子の情報の中から、このまま
温度が上がると崩れちゃう、と細胞膜のところに「自分を守ろう」
という指令が出ます。
中から栄養素を出さないようにガードするのです。
つまり、細胞を守る膜を作らせることによって、煮崩れを防ぐというワケ。
温度計で計るのが面倒な人は・・・沸騰したお湯に同じ量の水を入れたら
約50℃のお湯になります。
これは、シチューや肉じゃがにも応用できます。
肉を柔らかくジューシーに
肉は低速加熱で、細胞の収縮を防ぎ、
うま味&水分を逃さない。
低速加熱とは、弱い火力で徐々に温度を上げていくこと。
温度が上昇する速度が速いと肉の細胞の収縮率も高まります。
細胞が急激に収縮すると水分が抜けやすく、肉が固くなってしまいます。
1、鶏肉を弱めの中火で焼く。
約45~55℃の間が、細胞が収縮し始める温度で、肉が固くなるかどうか
決定してしまうので、低い温度からゆっくり加熱するのが重要。
約45~55℃をゆっくり通過すると収縮するのが少なくてすむ。
肉に焼き色をつけるのもポイント。
加熱で焼き色や香味が出るメイラード反応。
肉に焼き色を付けるには、約180℃必要で、ちょうど油が外にハネ始める
時がフライパンが約180℃という合図。
これは、豚の生姜焼き、ハンバーグなど、肉を焼く時全てに応用できます。
できあがったルウに足りない味覚を加える
1、炒めた鶏肉にバルサミコ酢を加えて煮詰める。
2、細胞膜を作った野菜と(1)の鶏肉を合わせる。
3、市販のカレールーを加える。
4、メープルシロップを加える。
メープルシロップで甘みとうま味が加わる。
人間には5つの味覚があって、バランス良く含まれていると、
人間の脳は刺激を受け、美味しさを感じやすい。
これは、漬物に砂糖をかけて食べることにも応用できます。
餃子
一流店の餃子の特徴は、
・ジューシーな「あん」
・もっちりとした「皮」
「あん」は手でこねない
手の温度を伝えずに肉の劣化を食い止める。
肉に火が通り始める温度は約30℃からで、人間の手の温度は30℃以上
あるので、手でこねると手の熱が加わり始めてしまいます。
余分な熱が加わってしまうと、肉の劣化が進みます。
肉はできる限り冷たい状態をキープする方が、劣化も進まず、
美味しく仕上がりやすい。
また、ジューシーさを保つためには、肉が「結着」することが重要。
ミオシンとアクチンが結着して「アクトミオシン」に変化する。
肉を結着させて、うま味成分を逃さない。
結着していない肉は、うま味成分や水分が抜けやすく、パサパサした
仕上がりになりがち。
肉汁を逃さないためには、肉をこねて肉片同士をくっつける必要が
あります。
熱を加えないために使うのが、すりこぎ棒。
結着は、練るというより「潰す」ことが重要。
1、まずは、肉と塩だけ混ぜる。
ミンチに塩を入れて、すりこぎ棒で潰していく。
これは、つくね、ハンバーグ、ソーセージを作る時に応用できます。
2、肉が結着してから、(1)のミンチに野菜を加える。
しょうが・ニンニク・しょうゆ・ごま油などで味付けをして
ヘラでかき混ぜる。
3、最後だけ少し手で混ぜる。
最後に手の熱を加えることも結着を強くする助けになります。
大さじ1杯程度の水で焼く
水を多く含むと、もっちり感が出ません。
最小限の水蒸気で蒸しつつ焦げを防ぐ。
1、フライパンにサラダ油を入れる。
2、大さじ1杯の水を入れてから、餃子を並べていく。
3、フタをして密閉し、火(弱火)をつける。
10~13分焼けば出来上がり!
大さじ1杯の水で焼く理由
・皮を蒸気で蒸すために必要。
・焼き始めから水分があることで、餃子が焦げるのを防ぐ。
炊き込みご飯
一流店の炊き込みご飯の特徴は、
・素材の味が凝縮
・ご飯がふっくらして甘い
きのこは使用する直前まで冷凍する
細胞を破壊して、うま味成分を増幅させる。
きのこは生の状態だとうま味成分が少ないが、加熱して細胞が破壊すると
うま味成分が増幅します。
生のきのこだと、徐々に細胞が破壊されるので、うま味が出るのが遅く
なりますが、
冷凍きのこだと、すでに細胞が破壊されているので、うま味が出るのが
早くなります。
これは、きのこのホイル焼きやきのこ鍋など、きのこ全般に応用できます。
氷を入れて炊く
氷を入れると、炊飯器の中の温度が下がり、沸騰までの時間が長くなり、
お米が多くの水を吸収します。
たくさんの水を吸収すると、固いでんぷんが柔らかくなり、ふっくらした
ご飯になります。
沸騰するまでの時間をかせぎ、米に多く水を吸わせる。
1、洗ったお米に適量の半分の水を入れる。
2、醤油・酒・塩で味付けする。
3、適量の氷を入れる。
お米2合に対し、氷は200g。
4、冷凍したお好みのきのこを加えて、炊く。